火災に備え、多くの施設や家庭に設置してある消火器。古くなってしまった時や撤去の際に不要となった場合に一般家庭ゴミや粗大ゴミとして捨てることはできません。
では、どのように処分するのが正しいのでしょうか?
今回のコラムでは、消火器を処分する際のいくつかの方法について解説します。
消火器の種類
一口に消火器といっても、使う薬剤や消化の仕組みによってさまざまな種類があります。住宅用・業務用や設置場所などでも異なりますので、廃棄予定の消火器がどんな種類のものかしっかりと確認しておくことも必要です。
下記で消火器の主な種類についてご紹介します。
消火器の種類 | 説明 |
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水消火器 | 「冷却」を原理に消火する、潤滑剤を混入した水と圧縮空気(または窒素ガス)を充填した消火器。水の浸透性により内部まで消火できるので、布類などの燃焼が発生している普通火災に効果がある。 |
強化液消火器 | 炭酸カリウムの水溶液を使用した、アルカリ性の強い液体を使用した消火器。同じ原理の水消火器よりも効果が高く、油を原因とした火災にも効果がある。 |
ハロン消火器 | 消火剤としてハロンを使用しており、圧縮空気や圧縮窒素ガスによる圧力で放射を行う。「窒息法」「抑制法」の二つの消火原理を併せ持つ消火器。 |
二酸化炭素消火器 | 二酸化炭素が高圧ボンベに充填されており、レバーを握ることで気化放射させる方式の消火器。人体への影響が大きく、高濃度の二酸化炭素を吸い込むと命に関わるため密閉空間での使用は厳禁とされている。 |
粉末消火器 | 重炭酸ナトリウムまたはリン酸アンモニウムを消火剤の主成分とし、それとともに圧縮空気や窒素ガスを充填した消火器。燃焼体に粉末を放射して酸素供給を遮断し消化する仕組み。 |
消火器を処分する方法の紹介
消火器は特殊な薬剤を用いている場合が多く、事業所で出たものはもちろん自宅から出たものでも燃えないごみに出したり通常の粗大ゴミとして処分することはできません。
下記のような方法を参考に、廃棄物処理法に基づいて適切に処理しましょう。
特定窓口に依頼する
特定窓口というのは、「消火器の販売代理店」や「防災・防犯事業者」にある窓口のことで、全国5,000箇所以上で設置されています。ここへ連絡することで、回収を依頼することができます。依頼の際には、特定窓口や指定取引所・消火器リサイクル推進センターから購入できるリサイクルシールを購入して貼り付けておく必要があります。
※2010年以降に製造された消火器にはすでに貼り付けられています。
窓口によっては持ち込みのみのところもあるため、確認するようにしましょう。
指定引取り場所へ持ち込む
「消火器メーカー営業者」や「廃棄物処理業者」が行っており、全国に約210ケ所しかありません。ただし、特定窓口よりも安く回収してくれるのが特徴です。
引き取りにはきてくれないため、必ず自分で持ち込む必要があります。
消火器リサイクル推進センターに回収を依頼する
自宅からゆうパックで郵送することのできるサービスもあります。
回収の申し込み、センターから伝票や回収箱が到着したら梱包して発送します。
ホームセンターでの買い替えを検討する
ホームセンターで新しい消火器を購入すると、古いものを回収してくれるサービスを行っているところもあります。
処分したいだけの場合は難しいですが、もし古くなったものの検討を考えている際には視野に入れてみると良いでしょう。
ただし、サービスを行っているか事前に必ず確認することと、行っていた場合でも消火器の状態によっては引き取り不可となる場合もありますので注意しましょう。
産業廃棄物処理業者へ依頼する
事業所から排出される場合、産業廃棄物処理業者へ委託する方法もあります。
産業廃棄物として処理されるため、消火器リサイクル推進センターのように消火剤までを再利用されることは難しいですが、金属製本体などは金属くずとして再利用されますので、廃棄物による環境への負荷を少しでも下げることが出来ます。
また、特定窓口とのネットワークを持っている産廃業者においては、他の粗大ごみの回収と合わせてワンストップで対応してくれる業者もいますので、相談してみるのも一つの手です。
消火器を処分する際の注意点
消火器は身近でない薬剤が使用されており、取り扱いには慎重にならなくてはいけません。また、回収を依頼する際も、自身で廃棄物としての品目を把握しておきましょう。
消火器の品目を確認しておく
最初に紹介した通り、消火器は効果や仕組みによって様々な種類があります。
回収業者へ依頼する際などに品目を聞かれることもありますので、自分が排出する消火器がどういった種類のものかはしっかり確認しておくようにしましょう。
無理な放出や解体をしない
スプレー缶の印象から、中身を全て出す必要があると考えてしまう方がいるかもしれませんが、それはNGです。
放出した薬剤が目に入ったり、状態や取り扱いによっては爆発の恐れもあり大変危険なため、そのままセンターや回収業者に引き渡すようにしましょう。
自分で動かす必要のある場合は丁寧に扱う
前項で述べた通り、古くなった消火器は危険性があるため、誤噴射や爆発を起こさないよう丁寧に取り扱う必要があります。
自分で動かすのが不安な場合は、専門の回収業者が直接引き取りにきてくれる方法で処分するようにしましょう。
まとめ
設置年数が長くなることが多く、いざ処分となるとどうやって取り扱うか迷ってしまう消火器。
管理している消火器の種類をしっかりと把握し、廃棄の際には適切な処分方法を選択するようにしましょう。