「食品ロス(フードロス)」問題をご存知でしょうか?
少し前から、コンビニから出る廃棄食品や、クリスマスケーキや恵方巻などのイベント関連フードの廃棄問題がメディア等で頻繁に取り上げられるようになり、私たち消費者の間でも、食品ロス問題が少しずつ一般的になったように感じられます。
しかし、まだまだ問題は根深く、今後もなるべく食品ロスを減らす取り組みが求められています。
食品ロス(フードロス)って何?
食品ロスとは、売れ残りや食べ残し、期限切れ食品など、本来はまだ食べられるにも関わらず、廃棄される食品を指します。
平成31年4月の農林水産省の発表によると、国内だけでも年間およそ1,561万トンもの食品廃棄物等が排出されているとされています。このうち、食品ロスは、およそ643万トンにも登るそうです。
そもそもなぜ「食品ロス」が発生するの?
食品ロスは、生産、加工、小売、消費のそれぞれの段階で発生すると言われています。
生産段階で発生する食品ロス
たとえば自然災害で傷ついた作物の発生や、気候の影響などで大量に作り過ぎてしまった作物が、廃棄処分となってしまいます。
加工段階で発生する食品ロス
加工段階でのロスは、品質や見た目などの問題で規格に合わない食品が、品質検査段階ではじかれるといったことで起こります。
小売で発生する食品ロス
スーパーやコンビニなどの食品を扱う店舗では、主に消費期限を過ぎた食品が消費者の手元に行き渡ることなく廃棄されるために起こります。
また、季節のイベントに関連して製造、販売される食品が、小売側によって大量発注された結果、供給過多に陥り、またその消費期限が極端に短いために、消費されることなく廃棄されるという問題もあります。
消費で発生する食品ロス
消費段階で起こる食品ロスは、消費者による食品の買いすぎや食べ残し、調理失敗などの発生から起こっています。また、外食等で注文しすぎた結果、食べ残しが大量に発生してしまうのも食品ロスにあたります。
食品ロス削減推進法とは
国内で問題意識が高まりつつある現状を踏まえ、日本では2019年10月1日から、「食品ロスの削減の推進に関する法律」が制定されました。この法律では、食品ロスの定義や施策による食品ロス削減の推進、基本的な方針や施策などが盛り込まれています。
これを受けて、上記で説明した生産、加工、小売、消費の4段階において、食品廃棄を減らす様々な工夫が求められています。
食品リサイクル法との違い
食品リサイクル法は2001年に施行された法律で、食品関連事業者に向けて、食品ロス削減の取り組みを促す法律です。
主に、食品の製造工程で発生する食品廃棄物を減少させることを目的としています。
また、たとえ処分となってしまった食品でも、飼料や肥料などの原材料として再利用するなど、なるべく廃棄ではなくリサイクルを推進させることが求められています。
食品ロスを減らす、具体的な取り組み
食品ロスを減らす取り組みについては、既にいくつか実行されています。
たとえば、「賞味期限」と「消費期限」の違いについて知っていますか?
・賞味期限
おいしく食べることのできる期限
・消費期限
期限を過ぎたら食べるのを控えるべき期限
賞味期限を過ぎたものでも、消費期限を過ぎていなければまだ食べられる、と判断することによって、家庭内での食品ロスを抑えることができるかもしれません。
また、まだ食べられるけれど、食べない食品を寄付し、必要としている人に渡す「フードバンク」という取り組みもあります。
その他、生産段階では規格に添わない食品を「訳あり」として安価に市場に出す取り組みや、小売ではイベント関連食品は予約販売にしたり、無駄な発注を減らすなどの取り組みがあります。
個人レベルでは、必要以上に食品を買い過ぎず、きちんと使い切るなどの計画的な消費が大切です。また、外食の際にも自分が食べられる分だけ注文するようにしたり、最後まできちんと食べきるなどの意識が消費者レベルでも求められていくでしょう。