リチウムイオン電池とは?
リチウムイオン電池とは、電池内の電解液の極をリチウムイオンが移動することによって充電と放電ができる二次電池です。
スマートフォンやパソコンなどの身近なものから、工場のロボットから車などの大型製品まで広く使用されています。
非常に便利な性能を持つリチウム電池ですが、処理方法を誤ると発火や発煙などの原因となり大変危険です。
使用されている主な製品
充電機能のある製品の多くがリチウムイオン電池が内蔵されています。
廃棄方法を誤ると大変危険な電池ですが身近な製品も多く、これらを廃棄する際は十分な注意が必要です。
・タブレット
・モバイルバッテリー
・携帯電話、スマートフォン
・加熱式タバコ
・電気シェーバー、電動歯ブラシ
・充電式のコードレス家電
リチウムイオン電池の危険性について
リチウムイオン電池は、外部からの衝撃により電池が破損や変形を起こすと、正極と負極が触れ合ってショートし発火してしまう可能性があります。
誤った使い方や不適切な処理によって火災が発生した事例もあり、実際に産廃処理施設でそのような事故が起きた事例も少なくありません。
リチウムイオン電池は商品本体に内蔵されていることが多く、気づかずに内蔵されたまま処分してしまうケースも多いです。
リチウムイオン電池を使用した製品を処分する際、ご家庭の製品であれば各市区町村の定める処分方法に従って、事業所から排出される場合は、契約している処理業者に相談するなど、適切に処分するようにしましょう。
リチウムイオン電池による事故の前例
リチウムイオン電池は潰れたり砕かれたりすると発火する性質があり、誤って通常の家庭ゴミと共に廃棄してしまうと処理の過程でかかる衝撃や圧力により発火してしまう恐れがあります。
下記は一例ですが、実際に排出者の誤った廃棄により処理施設が火災に見舞われた事故は少なくありません。
埼玉 ゴミ処理場火災
2023年4月、さいたま市の桜区作田環境センター内のリサイクルセンターで、不燃ゴミのリサイクル設備にある選別機などが焼ける事故があった。
家庭ゴミとして捨てることが禁止されているリチウムイオン電池が混入し発火したものとみられ、約3000万円の修理費がかかり再稼働までにも時間を要したとのこと。
新潟 廃棄物処理施設での火災
2022年の3月、新潟の廃棄物処理施設の廃棄物ピットでリチウムイオン電池による発火が原因の火災が起きた。
消防到着後約2時間半後に鎮火したが、同ピット内の不燃廃棄物約10平方メートルが焼けてしまったという。調べによると、廃棄物にリチウムイオン電池が混入し、ゴミ袋に入った不燃廃棄物を重機でピットに押し込む際にリチウムイオン電池に圧力や衝撃がかかり発火した可能性が高いとのこと。
適切な処分について解説
家庭での処理・処分
リサイクル回収へ出す
家庭でのリチウムイオン電池の処理は、リサイクル回収に出すのが基本となります。決して通常の可燃ゴミや不燃ゴミと混ぜて出してはいけません。
リサイクル可能な電池は、機材から取り外して端子部分に絶縁テープを貼り、リサイクルボックスの設置してある家電量販店や自治体の指定場所に持っていきリサイクル回収に出すのが一般的な処理方法となります。
まだ使えるものであれば買取も
モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を内蔵しているもので、まだ使用が可能であれば中古ショップなどで買取してもらうことを検討するのも良いでしょう。
事業者の場合の産廃処理
認可を受けた産業廃棄物処理業者へ依頼する
事業所から排出する場合は産業廃棄物に分類されます。
その中でもリチウムイオン電池はアルカリ電池やニッケル・カドミウム電池と同じ「金属クズ、汚泥」に分類されます。必ずこれらの処理認可を得た処理業者に委託するなどして、適切な処理を行うようにしましょう。
広域認定業者に委託して処理する
製品の製造事業者等が、使用済みとなった製品を廃棄物として使用者から広域的に集めて処理を行う制度があります。通常産業廃棄物を処理するには地方自治体等からの処理業の許可が必要ですが、この制度では環境大臣の許可のみで処理が可能になります。
この広域認定を受けた業者へ処理を委託することも可能です。
まとめ
リチウムイオン電池の危険性と処分方法について解説しました。
廃棄物の中でも特に危険な性質を持つリチウムイオン電池は、誤って廃棄すると処理施設等で発火するなどして重大な事故につながりかねません。
家庭で発生した場合も、産業廃棄物として廃棄する場合も正しい処分方法をしっかりと理解し、わからないことは管轄の自治体に確認を取るなどして適切に処理を行うようにしましょう。