
近年ニュースなどで耳にすることが多くなった漂着ごみ(海洋ごみ)問題。
漂着ごみとは、海や川の流れによって海岸に流れ着いたごみのことです。主に陸から川を通って海に流れ出たごみや、船などから出たごみが海を漂流し、海岸に打ち上げられることによって、漂着ごみとなります。特に島国である日本には、年々多くの漂着ごみが流れ着きます。その中には、海流によって遠くの国から流れ着いたようなごみもあります。漂着ごみは今では大きなごみ問題の一つとなっています。
海洋ごみとは海ごみ・マリンデブリとも呼ばれ、漂着ごみを始め、海中に漂う海流ごみや海底に沈んだごみなどの総称です。これらのごみの多くは陸から発生したプラスチックごみであり、景観を損なうだけでなく、海の生き物を傷つけたり、マイクロプラスチックとして生態系にも悪影響を及ぼすため、世界的な問題となっています。
主な漂着ごみの例

プラスチックごみ
ペットボトル、レジ袋、食品容器など、分解されにくいものが多く、海岸を汚染します。
これらのプラスチックごみは、長年にわたり小さく削られサイズが小さくなることでマイクロプラスチックとなり、海洋生態系への影響が懸念されています。
家庭ごみ
ポイ捨てされたごみや、台風や大雨などの自然災害で流されたごみが海岸に流れ着きます。大型家具などの粗大ごみ、タバコの吸い殻や衣類、ビン、缶など、主に生活から出るごみであり、漂着ごみの半分を占めていると言われています。
漁業・農業・工業関係のごみ
漁網、浮き、発泡スチロール、物流パレットなど、人間の事業活動で使用されるものがごみになって漂着しています。特に漁網や漁具は海洋生物が飲み込んだり体に絡まったりすることで、生態系に影響を及ぼすとして問題になっています。
海を汚す海洋ごみを減らす方法

海洋ごみの約8割は、人間の陸上の生活や事業活動から流出していると言われています。
私たちの日常生活や企業活動の工夫で大きく減らすことができます。
個人・生活でできること
- 1.使い捨てプラスチックを減らす
…マイバッグ・マイボトル・マイ箸を使うことで、使い捨てによるゴミを減らすことができます。 - 2.正しく分別してごみを出す
…ゴミを廃棄する際は、風で飛ばされたり、河川に流れ込まないようにしましょう。 - 3.清掃活動に参加する
…ビーチクリーンや地域のごみ拾いに参加することで、漂流ゴミを少しでも減らすことができます。
企業・事業活動でできること
- 1.ごみを出さない包装や資材を工夫
…リサイクル素材の利用、過剰包装を減らすことで、ゴミを減らすことができます。 - 2.廃棄物管理の徹底
…産業廃棄物処理を適正に行う、信頼できる企業に依頼することが大切です。 - 3.海洋プラスチック問題に配慮したCSR活動
…企業で清掃活動に取り組んだり、ゴミについて取り組むパンフレットを作成し配布することで、ゴミを減らす教育啓発を行うことができます。
社会全体でできること
- 1.リサイクル制度の整備、法律の整備
…リサイクル制度を整えたり、ごみの不法投棄を取り締まる法律を整備することで、海に流れ込むごみを減らすことができます。 - 2.海岸清掃の仕組みづくり
…自治体や住民、企業でごみ拾い活動を促進し、日常的に行うことで、海岸を美しく保ちます。 - 3.国際的なルール作り
…海ごみは国境を越えるため、国際的にごみの不法投棄をさせないルールを作ることで、海ゴミを減らします。
まとめ
漂着ごみはとても大規模な問題であり、すぐに解消することは難しいと思われますが、まずは関心を持って知っていくことで、少しずつ自分の行動を変えることができます。
まずはポイ捨てをなくし、海に行った際に発生したごみは持ち帰るようにしたり、落ちたゴミを積極的に拾ったりするなど、足元の活動から始めてみましょう。




