現場での産業廃棄物の分別ミスは、法令違反や処理コストの増加、最悪の場合は環境事故にもつながります。以下に「よくある分別ミス」と「その防止策」について、わかりやすくまとめました。
よくある産廃分別ミスと原因
1. 一般廃棄物と産業廃棄物の混同
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例:事務所ゴミ(紙くず)を産業廃棄物として扱う、またはその逆。
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原因:スタッフの分類知識不足、判断が曖昧なケース。
産業廃棄物の一種に「紙くず」があります。紙くずは、オフィスから最も出やすい廃棄物の一つですが、通常は「一般廃棄物」として扱われます。建設業・パルプ製造業など特定の業種で排出された場合、あるいはPCB(ポリ塩化ビフェニル)が染み込んだ場合のみ産業廃棄物として扱われますので注意が必要です。
2. 廃プラスチック類と可燃ごみの混同
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例:プラ成分を含む包装材やバンドを可燃物と一緒に廃棄。
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原因:素材の認識不足、分類表示の未整備。
事業活動から出たプラスチック類(包装材やバンドなど)は、「廃プラスチック類」として産業廃棄物に分類されます。包装材やバンドは多くがリサイクル可能なプラスチックであり、可燃ごみとして焼却すると、エネルギー・資源の損失につながります。
3. 金属くず・ガラス陶磁器くずの混在
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例:解体工事現場で金属片とガラスくずが同一容器に。
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原因:廃棄物の種類ごとの保管容器が不明確。
金属くずとガラス陶磁器くずは、それぞれ異なる産業廃棄物の種類に指定されています。一般的に金属は溶解・精錬などで再資源化しますが、ガラスや陶磁器は粉砕・埋立が中心です。これらが混ざることで、リサイクル工程において分別の手間が発生します。また、ガラスや陶磁器は破損すると鋭利な破片になりやすく、金属と混ざると見えづらく非常に危険です。
4. 危険物(蛍光灯・電池など)の混入
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例:蛍光灯を可燃ごみと一緒に捨ててしまう。
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原因:現場に「特定管理廃棄物」の知識がない。
蛍光灯は産業廃棄物に分類され、水銀を含むものは「水銀使用製品産業廃棄物」に該当します。乾電池(アルカリ・マンガン)は通常の産業廃棄物ですが、水銀を使用しているものは「水銀使用製品産業廃棄物」に分類されます。
リチウムイオン電池や乾電池を可燃ごみに入れると、回収車内や焼却場でショート・発火する恐れがありますし、実際に事故が起こっています。これらを可燃ごみに混ぜて出すと、不適正処理として違法行為になるリスクがあるので十分に注意しましょう。
5. 段ボールに油が付着して再資源化できない
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例:清掃後の汚れた段ボールを古紙回収に出す。
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原因:リサイクル基準に対する理解不足。
油が付着した段ボールがリサイクルできないのは、紙のリサイクル工程に大きな悪影響を与えるからです。見た目では「少し汚れただけ」と思っても、紙として再生する工程では非常に大きな問題となるので、可燃ごみ(一般廃棄物)として廃棄しましょう。
まとめ
以上、ビジネスの現場で起こりがちな間違った廃棄物の分別例とその防止策について解説しました。
仕事をする以上、必ず廃棄物が発生します。間違った廃棄によって法令違反を引き起こさないことや、回収後にトラブルを起こさないよう、現場で徹底したごみの分別をすることが大切ですね。
ぜひ、一度ごみの廃棄ルールを見直してみましょう。