複数のテナントからなる施設やビルからの廃棄物。処理責任は誰にある？

テナントビルやショッピングモールなど、一つの施設に複数のテナント（事業者）が入っている施設では、もちろんそれぞれの事業者から発生した廃棄物は全て事業系廃棄物であるため、適切な処理をする必要があります。
ですが、それらの複合施設やビルなどに入っているテナントとビルの管理事業者が異なる場合、そのビル内で発生した事業系廃棄物の処理責任は誰にあるのでしょうか？解説していきます。

複合施設やビルから出た廃棄物の処理責任は？

複数のテナントからなる施設やビルなどから出た廃棄物は、発生場所により処理責任が異なります。

各テナントから発生した廃棄物

各テナントの事業活動に伴って排出された廃棄物は、個々のテナントが排出事業者となります。
基本的に各テナントの事業者が責任を持って廃棄物を取り扱い適切に処理することが定められています。

共用スペースから発生した廃棄物

例えば「施設内の分別ステーション」など、共用スペースから発生した廃棄物はビルや施設の管理者が排出事業者となり、廃棄物処理の責任者となっている場合が多い様です。

ビルのメンテナンスに伴って排出される廃棄物

ビル設備のメンテナンスや建物の造作工事において発生した廃棄物の処理責任については、その施工が建設工事に該当する場合は、その工事を請け負った業者が負います。

ただし、タンクに溜まった汚泥の処理など建設工事を伴わない清掃などにおいて発生する廃棄物に関しては、それらのタンクなどを設置している業者（ビルの管理者）が排出事業者となります。

複数のテナントから発生した廃棄物を施設の管理者がまとめて取り扱うことは可能？

ビル管理会社が各テナントより委任を受けてテナントの事業者からの廃棄物を一括してマニフェストを交付したり産業廃棄物処理業者との委託契約を交わして処理することができます。

ただし、産業廃棄物の処理を委託する場合は該当する産業廃棄物の処分場所や受託者の許可範囲等の詳細を記載した委託契約書を交付することが必須です。

また、委託したからと言って廃棄物を発生させたテナント（事業者）の排出事業者責任が転嫁されるわけではありません。万が一委任状を受けた管理者が違法な処理業者に委託するなどし、廃棄物が適切な処理を受けなかった場合は排出事業者であるテナントも責任を問われますので注意が必要です。

まとめ

大きな施設やビルなどに複数テナントや事業者が入っている場合、各廃棄物の処理責任はどこにあるのかというのは意外と混乱しがちなことかもしれません。同じ施設や建物の中でも、どの事業によるものか、誰の管轄下で発生した廃棄物は処理責任を考える上で重要です。
もし、発生した廃棄物の処理責任がどこにあるのかわからない、誰が排出事業者に当たるのか不明な場合は必ず自治体に確認をするようにしましょう。

処理業者への依頼を管理会社へ委託することは可能ですが、どんな場合もその廃棄物を排出した事業者の「排出事業者責任」を他者に転化することはできません。
どの立場においても、取り扱う廃棄物にしっかりを責任を持ち、必ず適切に取り扱うようにしましょう。