不明薬品とは
研究所や実験場などで長らく保管された薬品などで、ラベルの剥がれや劣化などの理由により中の薬品がわからない、または何らかの混合物であるけど成分がわからないなど、中の液体が何か不明なものを「不明薬品」と言います。
このような不明薬品は何も考えず流したり混ぜたりなどの軽率な処理を行なってしてしまうと重大な健康被害や環境汚染、事故などを引き起こす可能性があるのため、慎重に対処する必要があります。
今回は、不明薬品の処分の流れや、捨てる際に気を付けることなどを解説します。
不明薬品取り扱いにおいてやってはいけないこと
不明薬品は絶対に混合してはいけない
最も重要なのは、不明薬品を何か他のものと混ぜたり、不明薬品同士を混ぜたりしないことです。
どんな成分を持つかわからない液体は、混合することでさらに成分の特定が困難になり、処理が難しくなります。
また、成分が不明であるため予期しない化学反応が起き、発熱したり人体や環境に有毒なガスが発生したりなど危険なことになりかねません。
中身が不明な薬品は、絶対に混ぜないよう気をつけましょう。
下水に流す、地面に埋めるなどの不適切な処理を行わない
成分が不明な薬品を安易に下水に流す、地面に撒く、埋めるなどの処理すると、水質汚染や土壌汚染を引き起こし、環境や人間の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
化学物質が水源に流入すると、飲料水や農作物に害を及ぼすこともあり、こちらも絶対に行ってはいけない処理です。
不明薬品処理には成分の分析が必須
内容がわからない薬品を処分するには、まずその成分を特定することが必要です。そのため、専門の分析機関や廃棄物処理業者を通して薬品の成分を分析し、どのような特性をもつ薬品かを明確に知ることがまず第一に必要なステップです。
これにおいて成分が明らかとなれば、その後の処理も適切に行うことができるようになります。
不明薬品の処理の流れ
分析の依頼
薬品の分析が可能な専門業者に依頼して不明薬品の成分を分析します。
分析を行う機関や業者によってサンプル提出の方法などに指定があるため、しっかりと確認して適切に対応するようにしましょう。
処理業者の選定
成分分析結果をもとに、その薬品を取り扱い可能な廃棄物処理業者を選定し、処分を依頼します。
薬品の成分を確実に処理できる業者かどうかを確認し、適切な処理業者を選定しましょう。
処理の実行
委託した業者が、法令に基づき適切な処理を行います。
万が一委託先で適切な処理が行われなかった場合には排出事業者にも責任が問われますので、廃棄物処理業者の得ている許認可や信頼性などを調査し、責任を持って処理を行える優良な業者を選定する必要があります。
まとめ
不明薬品は、その成分が不明であるため取り扱いに慎重さが求められます。以下のポイントを再確認しましょう。
混合禁止
不明薬品を他の薬品や液体と混ぜることは厳禁です。予期しない化学反応や有毒ガスの発生を防ぐため、絶対に避けましょう。
不適切な処理をしない
下水に流す、地面に埋めるなどの安易な処理は、深刻な環境汚染を引き起こす可能性があります。正しい処理方法を遵守しましょう。
成分分析が必須
不明薬品の処分には、まず成分分析が必要です。専門機関や業者に依頼し、正確な成分を特定することが重要です。
適切な処理業者の選定
分析結果をもとに、信頼できる廃棄物処理業者を選定し、法令に基づいた適切な処理を依頼します。業者の許認可や実績を確認することが大切です。
不明薬品の取り扱いには危険が伴うため、より慎重な対応と判断が求められます。適切な手順を踏むことで、健康被害や環境問題を未然に防ぎましょう。