「プラスチック資源循環促進法」をご存じですか?
2020年に始まった使い捨てレジ袋有料化に続き、最近は身近なプラスチック削減に関する動きが活発化していますよね。
「プラスチック資源循環促進法」は2021年6月4日に国会で成立し、今年2022年の4月1日より施行される法律です。
生活に身近な変化が伴いますので、ぜひ知っておきましょう。
「プラスチック資源循環促進法」とは
この法律は、「プラスチックを捨てることを前提としない経済活動」を目的としており、プラスチックの排出量を減少し、さらに資源として循環させるという観点が特徴です。
対象となるのは、プラスチックを扱う事業所や各自治体。
同法で掲げているのは、「3R+Renewable」の促進です。
「3R+Renewable」を意識した仕組み作りをすることで、地球の環境保護に繋がり、持続可能な社会を目指すこととなります。
「3R+Renewable」とは
「3R(スリーアール)」は既に聞いたことがある方も多いと思いますが、今回はこの3Rに「Renewable」を加えた「3R+Renewable」という概念が新たに導入されることとなりました。
■ 新しい概念「3R+Renewable」とは?
3R | Reduce(リデュース) | ゴミの発生量を減らす |
Reuse(リユース) | 使い捨てにせず、繰り返し使用する | |
Recycle(リサイクル) | ゴミを資源として再生させ、再利用する | |
Renewable(リニューアブル) | 製造に使用する資源を再生可能なものに置き換える |
具体的には、プラスチック以外の代替素材への転換、再生利用の容易な素材への転換、バイオプラスチックの活用などが提言されています。
バイオマスプラスチックとは、動植物から生まれた、再生可能な有機資源で、トウモロコシやサトウキビなど、植物由来の原料を利用して作られます。このバイオマスプラスチックを燃やす際も二酸化炭素が出ますが、原料である植物が育つときに光合成で吸収された二酸化炭素であるため、大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない(カーボンニュートラル)と考えられています。
事業所・自治体が取り組むべき具体的な措置とは
プラスチック資源循環促進法では、次の5つの具体的な措置が盛り込まれています。
(1)環境配慮設計指針を策定
国が「3R+Renewable」を意識した環境配慮設計に関する指針を決め、指針に適合した製品であることを認定する仕組みが設けられます。プラスチック製品のメーカーは、この指針に沿って製品設計や製造をすることが求められます。
(2)ワンウェイプラスチック使用を合理化
ワンウェイプラスチックとは、コンビニや飲食店などで提供される、使い捨てスプーンやフォークのようなワンウェイ(使い捨て)プラスチックのことです。
これらのプラスチックは現在無料で付与されているものですが、今後は提供時に要・不要の確認を取ったり、不要とした人にポイントを与えるなどの取り組みが想定されています。
(3)市区町村による分別収集や再商品化を促進
各自治体によるプラスチック資源の分別収集を促進するために、容器包装リサイクル法という既存の法律と同じ仕組みを使った再商品化を可能にします。また、再商品化する事業者との連携を促進する仕組みも盛り込まれます。
(4)製造・販売事業者等の自主回収を促進
プラスチック製品の製造・販売事業者が、使用済みの製品を自主回収し、リサイクルしやすくする仕組みを構築します。通常は廃棄物処理法に基づく認可を必要としますが、認定された事業者であれば認可が不要になります。
(5)排出事業者に対する排出抑制や再資源化を促進
プラスチックごみを排出する事業者が排出量を抑えたり、リサイクルに取り組んだりするための基準を策定します。
また、認定を受ければ廃棄物処理法に基づく認可なしでもリサイクルを実施できるようにすることで、排出事業者がプラスチック資源を有効活用するように促します。
「プラスチック資源循環促進法」の対象事業者
プラスチック資源循環促進法の施行にあたって、国が定めた「特定プラスチック12品目」を提供する対象事業者は、今後は使用の合理化を求められることとなります。
国が特定プラスチック使用製品として定めた12品目は、以下の通りです。
そしてこれらの品目を主に取り扱う対象事業者として想定されているのは、主に以下となります。
・小売業(百貨店・スーパー・コンビニなど)
・Eコマース(ネット通販などの電子商取引)
・宿泊業(ホテル・旅館など)
・飲食店(レストラン・居酒屋など)
・配達飲食サービス業(フードデリバリーなど)
・クリーニング業(クリーニング店など)
これら12品目を年間5t以上取扱う小売業、Eコマース、宿泊業、飲食店、配達飲食サービス業、クリーニング業に対しては、プラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制が今後は義務づけられます。
ただこれらは法律で罰則等が定められているわけではなく、現時点ではあくまでも努力の範囲となっています。
しかし、今後の環境に対する意識の高まりに伴って、こういった取り組みを当たり前のように行う企業は今後ますます増えていくでしょう。
今後の社会への影響に注視していきたいと思います。