産業廃棄物は、多くの場合最終的には産業廃棄物処理業者への委託などで処理することが多いでしょう。
しかし、まとまった量になるまでの間排出事業者側で保管しなくてはならない状況になる場合もあります。産業廃棄物は保管の方法にも基準が定められており、敷地内であったとしても杜撰に取り扱ってはいけません。
今回は、産業廃棄物を保管する場合の基本的な基準について解説します。
なぜ保管基準を設けるのか?
廃棄物の中には、性質や形状が変化するものがあります。
杜撰な管理での保管は、大気汚染や水質・土壌汚染等に繋がりかねません。生活環境の汚染を防ぐためにも、産業廃棄物を保管する際の基準をしっかりと守って適切な保管を行い、安全な環境を作っておく必要があります。
産業廃棄物を保管する際に満たすべき基準
産業廃棄物を保管する際には、下記のような基準を満たさなくてはなりません。
廃棄物の種類にもよりますが、ここでは基本的なものを紹介します。
掲示板を設置する
産業廃棄物の保管場所の見やすい位置には、その旨について記載した掲示板の設置が求められます。サイズや内容事項も定められているため、不足のないものを設置するようにしましょう。
掲示板へ記載が必要な事項
・産業廃棄物の保管場所であること
・保管する産業廃棄物の種類
・保管場所の管理者、および連絡先
・屋外で保管する場合は、最大保管高さ(容器を使用しない場合)
掲示板のサイズ
縦:60cm以上/横:60cm以上
記載例
下記は、掲示板へ情報を記載する際の例です。
産業廃棄物(または特別管理産業廃棄物)保管施設 | |
産業廃棄物の種類 | 〇〇〇 |
管理者の氏名(名称)および連絡先 | 〇〇〇(住所を記載) 株式会社 〇〇〇 代表取締役 〇〇〇 電話 〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇 |
最大保管高さ | 〇〇m |
最大保管量 | 〇〇㎥ |
囲いを設ける
産業廃棄物の保管をする際は、基準に伴って保管場所の周囲に囲いを設置しなくてはなりません。囲いについて具体的な基準は設けられていませんが、保管中の廃棄物がもたれかかるなどしても倒れてしまわない程度の強度があるものを選定しましょう。
飛散・流出等の防止
保管場所からの飛散や流出、異臭の発生を防ぐため、防止策を講じる必要があります。
適切な保管容器の選定や、シートを被せるなど廃棄物の種類や性質に合わせて適宜措置を行いましょう。
害虫の発生を予防する
ねずみ、ハエ、蚊やその他の害虫などが発生しないよう、対策を行わなくてはなりません。
衛生管理をしっかりし、これらの害虫発生を防止することが求められます。
汚染水の対策
汚水の発生が予想される廃棄物については、水質汚染の原因にならないための措置が必要です。
汚水が地下に浸透しないように排水溝を設ける、底面を不浸透性の材質で舗装するなどの対応を行いましょう。
屋外で保管する場合
コンテナなどの容器を使用せずに屋外保管する場合は、積み上げる高さに制限があります。
石綿含有産業廃棄物を保管する場合
石綿含有産業廃棄物を保管するときは、他の廃棄物と混合しないよう仕切りを設けるなどの措置が必要となります。
保管使用できる容器について
産業廃棄物を適切に保管するために、専用の容器を使用して保管することもあります。
フレコンバッグ
フレキシブルコンテナバッグの略称で、ポリエチレンなどの素材でできた袋です。木くず、紙くず、廃プラスチック、ばいじんなど、様々な産業廃棄物の保管に適しています。
使用前には劣化や破損がないことを確認し、中に入れる廃棄物がはみ出したり流出しないように注意しましょう。
コンテナ
こちらも多くの産業廃棄物の保管することができます。
ただし、飛散や流出、悪臭、雨水侵入などを防止するために、防水シートで上面を覆う必要があります。
ドラム缶
引火や爆発の可能性が高い廃油や、流出の恐れがある汚泥などの産業廃棄物は、ドラム缶による保管が適しています。
一斗缶
ドラム缶に保管するほどの量がない場合、一斗缶での保管も可能です。
液状の廃棄物を保管する場合は、蓋を密閉できるものを使用しなければなりません。
まとめ
産業廃棄物の適切な保管方法について解説しました。
ただし、今回ご紹介した基準は基本のものであり、産業廃棄物の種類によってはさらなる基準が設けられている場合がありますので、自身が取り扱う廃棄物の適切な保管方法の基準はしっかり確認し、処分までの間適切に管理する体制を整えましょう。