
廃棄物処理法で定められた20種類の産業廃棄物のうちの一つ「繊維くず」。繊維くずは業種指定のある廃棄物で、同じ「繊維」でも業種や素材などによっては繊維くずに分類されない場合があります。
今回は、繊維くずの分類や処分方法などについて解説していきます。
繊維くずとは?

以下の条件に当てはまる天然繊維くずが、産業廃棄物である「繊維くず」に分類されます。
| 産業廃棄物種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 繊維くず | 1)建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る) 2)繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)に係る天然繊維くず (合成繊維は廃プラスチック類) 3)PCBが染みこんだもの |
木綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、布くず、綿くず、不良くず、落ち毛、みじん、くずまゆ、レーヨンくず等、建設現場から排出される繊維くず、ロープ等 |
上記に当てはまらない天然繊維くずは基本的に「事業系一般廃棄物」として扱われます。
ナイロンやアクリル繊維など合成繊維の場合は、業種にかかわらず産業廃棄物の「廃プラスチック類」にあたりますので注意しましょう。
天然繊維と合成繊維が混合されている素材の場合は、混合比率などによりどちらに分別されるか判断が分かれますので、あらかじめ管轄の自治体や廃棄物処理業者に相談しましょう。
建設業に係るもの

建築・改築・解体現場から排出される天然繊維製の断熱材や防音材、絨毯、畳、ロープ等が該当します。
「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの」に限られるため、建設業者の事務所等で生じたものは事業系一般廃棄物となります。
繊維工業に係るもの

紡績工場や織布工場などから排出される木綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、布くず、綿くず、不良くず、落ち毛、みじん、くずまゆ、レーヨンくず等が該当します。
縫製工場などの衣料生産現場から排出される端切れなどは「くず繊維」と呼ばれ、天然繊維であっても繊維くずではなく事業系一般廃棄物に分類されます。
PCBが染みこんだもの

PCB(ポリ塩化ビフェニル)が染み込んだ天然繊維くずは、発生場所を問わず産業廃棄物かつ特別管理産業廃棄物に分類されます。
状態によっては混合廃棄物になる場合も

繊維くずに油や薬品が染み込んでいる場合は、複数の種類の廃棄物が混ざった「混合廃棄物」とみなされることがあります。
この場合、委託先の処理業者が必ず委託する混合廃棄物に含まれるすべての廃棄物の処理許可を持っている必要がありますので注意しましょう。
繊維くずの処分方法

繊維くずを処分する場合は、産業廃棄物の「繊維くず」の許認可を持った処分業者に委託しましょう。
また、PCBを含んでいる場合は、PCB廃棄物に関わる特別管理産業廃棄物の処分業許可を得た業者に依頼する必要があります。
認可を受けていない業者に依頼して万が一不適切な処理をされてしまった場合、処理業者のみならず委託元の排出事業者も責任を問われます。
適正な処理を行う業者であるか、信頼できる業者かどうかという点について、しっかりと考慮して処理業者を選びましょう。
「産廃エキスパート」や「優良産廃処理業者」といった認定を受けている業者なら、より安心して廃棄物処理を依頼できます。
まとめ
繊維くずはごみの分別が難しい廃棄物です。
布や糸など見た目が「繊維」であっても、業種や素材によっては「事業系一般廃棄物」だったり、産業廃棄物であっても「廃プラスチック類」にあたる場合があります。
処分する際は信頼できる処理業者を選定し、判断に迷う場合は相談しながら必ず適切に処分するようにしましょう。




