新型コロナ禍において、企業の倒産件数が増えています。特に飲食店や旅行関連会社、アパレル小売店の閉店・閉鎖が相次いでいます。
また、倒産とはいかなくても景気後退による事業縮小、計画的な事業閉鎖は今後もしばらく続くと思われます。今回は会社倒産時のゴミの処分方法について解説します。
産業廃棄物処理の委託は「破産管財人」が行います
会社が倒産した場合、破産管財人が破産者の財産や資産を金銭に換え、会社に金銭を投じていた人に配当していく手続きを行ないます。原則として、破産者の財産は全て処分されます。
会社の財産の中に産業廃棄物があった場合、法令に従って処分しなければならないので、申し立て後に「破産管財人」が処理を行なうことになります。
裁判所から選任された、破産手続における財産の換価や債権者への配当、免責判断の調査などの業務を遂行する専門家のこと。通常は、地域の弁護士の中から選任されます。
会社側は弁護士に相談するだけでOK
倒産した会社のゴミ処理に困ったら、基本的に弁護士へ相談すれば解決します。会社が倒産するときには破産申請手続きが弁護士に依頼されますので、依頼された弁護士が破産の通知や会社財産の保全、破産申し立てなどを進め、この手続きの中に産業廃棄物の処理も含まれます。特別な処理をしなくても裁判所によって破産管財人が選ばれ、産業廃棄物を処理してくれるでしょう。
逆に破産管財人は、適切な処理を行なってくれる産業廃棄物処理業者へ依頼することが必要になります。
パソコンの廃棄・処分は信頼のおける処分専門業者へ
不用品を廃棄する際に特に気をつけなければならないのが、パソコンの処分です。パソコンの中には多くの個人情報が詰まっており、安易な廃棄は個人情報や機密情報の漏えいに繋がりかねません。
たとえデータをゴミ箱に捨てて空にしたつもりでも、専用のソフトを使用すると復活させることが可能です。現代はオークション等で中古のパソコンなどの売り買いが簡単にできますので、処分したはずのパソコンが思いもよらぬ誰かの手に渡ることもあります。データの入ったパソコンは、あらかじめ適切にデータを消しておくか、信頼のおける業者に廃棄処分を依頼するのが良いでしょう。
オフィス家具などまだ使えるものは、リサイクルすることによって買取が可能になる例もあります
まだ使えるものに関しては、買取してもらうことによって不用品をお金に換えることが可能です。特に机や椅子などのオフィス家具については、専門の買取業者も多く存在していますので、リサイクルを選択した方が処理費用を安く抑えることができます。
しかし減価償却中の資産を売却する場合、売却に伴って資産が減少することになります。売却の際にはその点も注意して処分しましょう。
工場の場合、中古機械が買取の対象になる場合もあります
工場を閉鎖する場合、工場内の中古機械がまだ使用できる場合、買取の対象となる場合もあります。
多少古くても、海外で人気の機種や傷みの少ないもの、それぞれの分野で名が通った機種なら特徴的なものでも高く買い取ってもらえることもあります。
詳しくは専門の買取業者に見積り依頼を出すと良いでしょう。
●買取できる機械の例
飲食店の閉店の場合、「現状回復」か「居抜き」かを確認しましょう
飲食店を閉店する際は、店舗什器をそのままにする「居抜き」か、コンクリート打ちっぱなしの現状回復「スケルトン工事」か、店舗物件の契約により変わりますので、契約書類などで確認しておきましょう。
また、作業台や業務用冷蔵庫などの厨房機器についても専門買取業者がありますので、まずは相談してみましょう。
信頼のおける産業廃棄物処理業者を選びましょう
過去に、破産管財人が無許可の産廃処理業者にゴミの処分を依頼し、適切に処分されずに不法投棄されたため、結果的に県から刑事告発を受けた事例があります。
この場合、不法投棄した業者と破産管財人がその責任を負うことになります。このようなことにならないよう、信頼のおける産廃処理業者を選びたいですね。